DMの市場規模と今後の動向を徹底解説
DMで成果を上げるには、DM市場の現状と今後の動向について知っておく必要があります。
今回は、DM市場の現状や今後の動向を解説し、取り入れるべきDM差別化の戦略を紹介します。これまでDMに取り組んできた方や、これからDMに取り組む方は、ぜひ参考にしてください。
DMの市場規模はどのくらい?
DMの市場規模を、株式会社電通が公表している「2021年 日本の広告費」などの統計データをもとに、さまざまな観点から解説します。
日本の総広告費
株式会社電通の「2021年 日本の広告費」によると、2021年の日本の総広告費は6兆7,998億円となっています。
総広告費は2019年まで年々上昇傾向にありましたが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、大幅に落ち込みました。2021年にはコロナ禍の影響が緩和したことから、媒体によって差はありますが、市場は落ち込みから回復しつつあります。
DMの広告費
広告媒体はマスコミ4媒体広告、インターネット広告、プロモーションメディア広告に大別されます。それぞれ該当する媒体は以下のとおりです。
マスコミ4媒体広告
新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア(地上波テレビ・衛星メディア関連)
インターネット広告
新聞デジタル、雑誌デジタル、ラジオデジタル、テレビメディアデジタル、物販系ECプラットフォーム広告費、インターネット広告制作費
プロモーションメディア広告
屋外、交通、折込、DM、フリーペーパー、POP、イベントほか
「2021年 日本の広告費」によると、プロモーションメディア広告に分類されるDMの広告費は、2021年で3,446億円(前年比104.7% 構成比5.1%)です。2019年は3,642億円、2020年は3,290億円となっており、他媒体同様に新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、市場は回復していることがわかります。
DMや折込広告の回復傾向は他媒体よりも比較的良好だと見られており、これは、コロナによる在宅消費がDMや折込広告の需要を高めたためと考えられます。
【ヤマト運輸】クロネコDM便の件数
続いて、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵政の発送実績から、それぞれの発送状況の特徴を解説します。まずはヤマト運輸の小口貨物取扱実績から発送数を見ていきます。
クロネコDM便の件数は2021年度で約8億件となっており、総件数は年々減少傾向にあります。
【佐川急便】発送物の件数
佐川急便の発送物は2021年で1,423百万個となっており、そのうち1,369百万個が飛脚宅配便となっています。2021年度の発送物数は2020年度よりも増えています。
メール便・ゆうメール便・国内郵便の推移
一般社団法人日本ダイレクトメール協会の「広告メディアとしてのDMの現状」によると、メール便の数量は減少しているものの、ゆうメールは順調に数量が増えています。
また、総務省が発表する「令和4年版 情報通信白書」によると、2021年度の総引受郵便物等物数は、191億9,273万通・個となっています。総引受郵便物等物数は年々減少傾向にあり、特に郵便物は近年大きく数量を減らしています。
【日本郵便】年賀葉書の発行枚数
日本郵政が発行した年賀葉書の発行枚数は2022年用で約19億枚となっています。発行数は年々数億枚単位で減少しており、この傾向は今後も続くと予想されます。
【日本郵便】元旦に配達された年賀郵便物数
元旦に配達された年賀状は、2021年で1,179百万通となっており、年々数量は減少傾向になっています。今後も減少傾向は続くと見られています。
DM市場の現状と変化
先ほど解説した数値を参考にしながら、DM市場の現状と変化についてより詳しく解説していきます。
DM市場の現状
先ほど示したデータのとおり、郵便物(クロネコDM便や飛脚ゆうメール便などを含む)の総数は近年減少傾向にあります。
それでは、なぜ郵便物は減少しているのでしょうか。郵便物の減少は、さまざまな書類が電子化したことが考えられます。見積書や請求書、契約書のデータ化、決済のシステム化、カタログのPDF化、電子帳簿保存法などが起因し、紙媒体でのやりとりをする必要がなくなっているのです。
また、近年では年賀状など、個人間で郵便物をやりとりする習慣も薄れてきており、こういった時代背景から、郵便物の取扱量が減少してきているといえます。
DM取扱量の変化
DMを含む郵便物すべての取扱量は統計データから把握可能ですが、DMのみの取扱量の統計データがないため、DM取扱量の変化を正確に把握することはできません。
しかしながら、弊社が長年ファイリングしてきた手元にあるDMの量は10年前の約半分程度に減少しています。また、弊社の顧客やコンサルタントに聞いたところでは、9割減~2割減との返答が得られています。
郵便物の総量と同様に、DMの取扱量も減少しており、DMを発行する際は市場の縮小にも考慮する必要があるといえます。
どのような業種のDMが減ったのか?
では、実際にどのような業種のDMが減少しているのでしょうか。弊社がまとめたところによると、以下の内容のDMで、取扱量が減少しています。
- 展示会関連
- セミナー案内
- ホテル・旅館
- コンサート
- 飲食店
- 旅行関連
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた飲食業やイベント業関連のDMが減少していると思われます。この傾向からは回復しつつありますが、やはりコロナ禍の影響は色濃いため、コロナ禍前の水準まで取扱量が増えるには時間がかかると考えてください。
どのような業種のDMが増えたのか?
郵便物やDM全体の取扱量が減少するなかで、DMの取扱量が増えている業種もあります。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、需要が高まった業種ではDMの取扱量も増えているのです。
例えば、以下のような業種でDMの取扱量が増えています。
- 食料品
- 一般雑貨
- 通販関連
- コロナ関連
- 融資関連
- M&A
DMで売上が伸びているか?
DMからの売上の伸びは二極化が進んでおり、業種や業態、DM作成レベルなどによって売上の増減は大きく左右されています。
DMから撤退している会社の共通点とDMを10年以上出し続けている会社の特徴を以下にまとめました。自社の特徴と比べてみてください。
DMから撤退している会社の共通点
- 初めてDMに取り組む
- 新規顧客獲得のためにDMを発送している
- DMテストを行っていない
- インターネットの費用対効果が落ちていることを理由に、深く考察せずDMを発行している
- メーカーが作ったパンフレットのようなDMを発行している
- 社長がDMに関わっていない
- DMの市場調査を行わず、とりあえずDMを発行している
DMを10年以上出し続けている会社の共通点
- 既存顧客を中心にDMを発行している
- DMテストを行っている
- ニュースレターを出している
- 売込みの少ないDMを発行している
- DMとインターネットを連携させている
- 会社全体でDMの情報が共有されている
- DMやニュースレターの担当者がいる
- 部分的に外注を使っている
今後どうなる? DM市場の今後の動向
DM市場は今後どのように変化していくのでしょうか。日本ダイレクトメール協会の「DMメディア実態調査2021」をもとにDMの閲読率の変化を考察していきます。
同調査によると、DMの閲読率は全体で67.6%、本人宛で79.5%となっています。公的機関からのDMや、クーポンやプレゼント、キャンペーンなどの顧客にメリットのあるDMの閲読率が高いのが特徴です。
また、DMの閲読後、商品についてインターネットで調べたり資料請求したりするなど、なんらかの行動に移したのは21%です。20代、30代の若年層に高い行動喚起効果が見られることから、若い世代への効果には今後も期待できます。
全体をとおして、DMの閲読率、行動喚起率は高く、DMは販促媒体として優れていることがわかります。コロナ禍で対面での販促が制限されるなか、DMの価値も高まっています。QRコードを添付するなどしてインターネット広告と連携する手段もとられており、今後もDMの役割は増えていくと予想されます。
近年、多くの企業がインターネットでの販促に力を入れたことで、インターネットへの新規参入障壁が高くなっています。競合が増えたことから、今までインターネットでの売上が好調だった企業も売上が減少する傾向が見られ、インターネットでの販促効果の今後は安定的とは言い切れません。また、インターネットへの新規参入も今までよりも難しくなってきています。
一方、DMは、一度うまくいくDMを作れば、その効果が長続きするのが特徴です。業種や業態にもよりますが、これまでDMで成果を出していた企業は、依然としてDMで成果を上げている傾向が見られます。
また、近年ではDMで顧客に興味を持ってもらい、自社ホームページへ誘導する方法が効果を上げており、今後もこの形で顧客との接触をはかるケースが増えることが見込まれます。さらに、ニュースレターによって顧客との接触頻度を増やし、関係性を強化するケースも根強い効果を持っています。
今後も、これらのようなさまざまな手段によって顧客との接触頻度を増やし、顧客との関係性を強めることがますます重要になっていくと考えています。
取り入れるべき「DM差別化」の戦略
変化していく市場のなかで成果を出すには、DMを差別化する戦略が欠かせません。差別化の戦略をパターン別に解説します。
別媒体と差別化するなら「特徴を活かす」
別媒体と差別化したいなら、まずは競合となる媒体にはどのようなものがあるのかを知っておく必要があります。DMの競合となる媒体は以下のとおりです。
インターネット系媒体
ホームページ、PPC広告(Yahoo!JAPAN/Googleでの検索連動型広告・コンテンツ連動型広告)、メルマガ、ブログ、メール、バナー広告、Twitter、Facebook、インターネット動画広告、インターネットテレビ広告など
リアル媒体
新聞、雑誌、テレビ、ラジオダイレクトメール、ニュースレター、FAXDM、チラシ、看板、ポスター、カタログなど
媒体によって特徴は異なり、性別や年齢、環境、業種、収入、環境など得意な分野も異なります。自社の業種業態や既存顧客の属性などを考慮し、どの媒体を使うのかを検討してください。
また、近年では多くの人がインターネットを介して情報を入手しています。個人情報を入力せずに手軽に利用できるインターネットは、情報収集の手段として非常に優れているからです。
インターネットで得た情報をもとに、複数の製品やサービスの価格等を比較し、購入するかどうかを決定しています。インターネットを介した販売戦略では、判断材料となる価格や性能だけでなく、保障や納期、付加価値、ポイント、プレゼントなど他社とは違う何かが必要になります。特に商品自体に差が無い場合は、この他社との差異がより重要になります。
製品の情報を詳しく伝える戦略は、ホームページだけでなくDMやニュースレター、チラシ、資料、その他にも応用できます。差別化のポイントをわかりやすく伝えて、顧客の購買意欲の向上につなげてください。
なお、現在では高騰するインターネット広告や、効果を出すのに費用と時間がかかるSEOよりもDMによる顧客獲得単価が低くなる事例が増えています。特に発送先が明確な場合はDMによる新規顧客単価が低くなるため、DMで興味を持った顧客をホームページに誘導するなど、媒体をまたいだ戦略も効果が期待できます。
他社DMと差別化するなら「開封率アップを狙う」
DMは顧客に届いて開封してもらい、内容を確認してもらえなければ効果を得られません。自社DMと他社DMを差別化したいなら、開封率の向上が不可欠です。
開封率を上げるには、まずは封筒を見ただけで、DMの内容がわかるようにする必要があります。内容をはっきり見せたい場合は、透明封筒が便利です。透明封筒なら中身が透けて見えるため、なかに見える紙のヘッドコピーやイラスト・写真で訴求効果を出せます。封筒の表と裏のどちらから見ても、訴求効果を持たせることも大切です。
また、そもそも開封を必要としないA4サイズのハガキでDMを作成する方法もあります。この場合、条件にもよりますが、郵便よりもメール便での発送のほうがコストがかからないため、おすすめです。
他にも以下のような方法を利用すれば開封率を上げられるため、自社のDMで取り入れられそうな方法を試してみてください。
- 顧客の特性に合わせてDMの内容を分ける
- 特典を付け、それが一目でわかるように示す
- 厚みのある特典を封入する
- 請求書など、必ず開封されるものに同梱する
- 手書きのメッセージをつける
- 直接手渡す
まとめ
DMの市場は年々減少傾向にあり、近年は新型コロナウイルス感染症の影響もあってより市場が縮小しています。このような市場のなか、DMで成果を上げるには、自社や顧客の状況に合わせてDMを作成しなければなりません。
効果的なDMをより手軽に作成したいなら、DM発送代行業者へ業務を委託するのがおすすめです。
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